ゆびぬき 絹糸でいろどる小さな世界

レビュー:四季を彩る 加賀のゆびぬき(著者:石井康子)

四季を彩る 加賀のゆびぬき
石井康子「四季を彩る加賀のゆびぬき」

 

○出会い

加賀ゆびぬき結の会主催、石井康子さんの一冊目の本。最初は発行されているのを全く知りませんでした。いつもぼんやりAmazonで何か出てるかなーくらいの感じでオススメにあがってくるのを見ているんですが、この本もそんな感じで「ほら、こんなのもあるよ」とAmazonさんにオススメされて発見。
「石井さんの本だ!!」と光の速さで購入ボタンを押しました。

 

○装丁

表紙のゆびぬき達のなんと雅(みやび)なこと!裏表紙と本文すぐのページは、赤と白のみで作られたゆびぬき達。この本に収録されている模様を、赤と白のみでかがったものなんです。そう、カラフルな作品と、潔い2色のみの作品を目で見て比べられる仕掛けです。

 

○もくじ

まず、目次ページで目を引くのは上品なゆびぬき達。個人的にテンションが上がったのは、目次作品の数の多さです!
「こんなにある!!」と、ゆびぬき作りが好きな私にはたまらない上、各模様につけられた名前のなんと美しい響きよ。
四季にちなんだその名前もお気に入りです。

 

○作品写真

ゆびぬきの作り方の前に、春夏秋冬にちなんで分けられた作品の写真がまとめられています。春の桜やウグイス、夏の蛍や渓流、秋の銀杏にコスモス、そして冬の椿やサンタクロースなど、目で見て季節を感じられるのが魅力です。

 

○材料

ゆびぬき作りの材料が、目で見てすぐに分かるように紹介されてます。面白いのは、自分の手で1から作る土台の市販品を紹介しているところ。「土台から作る工程をすっ飛ばして、絹糸でかがるところからやりたい」という人向けに、カナガワ鰍ゥら市販されています。

 

こちらでは道具についての写真はなく、「ほかに用意するもの」として文字のみで説明されています。すでにゆびぬき作りをされている人にはお馴染みの物ばかりですが、全く初めての人がこの本からゆびぬき作りを始めるとしたら、もしかすると「メンディングテープってなに?」となるかもしれません。小さくても画像は欲しいかなと感じました。

 

○土台の作り方、かがる前準備

今回、作り方の説明写真を見ていて初めて気付いたのが真綿の使い方。
真綿は1枚のシート状になっていることがほとんどなので、これを引っ張り出してゆびぬきの土台に巻いていきます。その時の、真綿をシート状から引っ張り出す説明が、写真付きであるのがとても分かりやすいと思いました。

 

実はシート状の真綿から、ただ引っ張るだけではなく、先にほぐしてあげることが必要なのです。それは経験してみないと分からないもので、独学でやっているとそこに行き着くまでかなり時間がかかります。なので、こうしたほんの少しの説明が、とても役に立つなと感じました!

 

○ゆびぬきの製図

まず、かがり技法の説明があり、そこにもいくつかの製図が載っています。
石井さんの本で初めて、曲線の刺し方に出会い感動しました。

 

製図の下に図案(模様がどのように出るのかという図)がありイメージがしやすいです。
そのすぐ下に、どのコマ部分を何色でかがるかという表がありますが、個人的にここで糸の色番号だけを見ても頭が追いつかず、慣れるまで時間がかかりました。

 

全体通してこちらの表でよく使われている「どの色を何段」かがるかの説明を理解してからでないと、間違いやすいと思います。
色のバリエーションについても、こちらの表では色番号しか分からないので、一度、作品写真のページに戻って確認するしかなく、そこも少し大変かなと感じました。

 

○巻末

地割表という、コマ割りできる分割スケールがついています。この本に出てくる40コマという最大数のコマにも対応しています。
が、このスケールは和紙の長さが全て7.8cmと定まっていて、出来た土台に真綿を巻いた周囲が7.8cmないと、ピタリと当てはまりません。

 

逆に言えば、このスケールにピタリと当てはまるサイズならば、本の通りの段数で作ることが出来るはずなので、試してみるのも良いかと思います。

 

○まとめ

四季ごとに紹介されたゆびぬきの模様は、どれも雅(みやび)で遊び心があります。
その代わり、全体的に難易度の高い印象。特に、睡蓮や朝顔といった花模様は、模様を出すためのコマ割りがとても多く、初めて見ると尻込みしてしまいそうです。

 

曲線を出す模様や花びらなどを表現するための作り方は、1コマ目を1段かがることに対し、別のコマでは複数段かがるという変則的な刺し方です。本の通りにかがれば見本の模様が仕上ります。ところが、本に書かれている段数が土台に収まらない場合には、自分で糸の段数を調整せねばならず、その辺が難しいです。

 

ただ、数をこなして自分なりのサイズやコツが掴めれば、調整して作ることが出来ます。
この本にあるペンギンや白鳥、サンタクロースなど、可愛らしい模様を楽しむことも可能です!
本当に、どの模様も色美しく上品で、まさに「雅」という言葉がピッタリ。新しい技法も学べて作品作りの幅が広がるし、面白い!
オススメの一冊です。

 

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