レビュー:絹糸でかがる 加賀のゆびぬき(著者:大西由紀子)
○出会い
この本に出会ったのは、ゆびぬきのキットに挑戦して間もなく。キットでゆびぬき作りの虜になった私は、次のキットが届くまで待ちきれず、ネットでゆびぬきの本を検索し、Amazonでこの本を知り購入しました。通販で購入できるのってすごく助かります。
○装丁
届いた本を見た時に、かなりしっかりした作りの、シックな装丁だなと思いました。
ハードカバーで飾り気を一切排除したシンプルな表紙。それも、青海波と分かる表面ではなくて、糸でかがる天面を真ん中に。
紺に白でかがられた天面は、花のように見えて「これはどの模様から出来るんだろう?」とワクワクしました!
○内容
巻頭から引き込まれるお祖母様の話。鮮やかな絹糸で作られた、ゆびぬきの写真。
製図を夜な夜な描いていたというエピソードや、昔のゆびぬき写真。
どれもこれも、見応え、読み応えがありました。
○作品写真
本に掲載されている作品の見本写真のページでは、模様の説明などもあり参考になりました。時々、並んだゆびぬきの奥側に写ってる参考用のゆびぬき、あれも製図があればな〜と思うものもありました。ページの都合でしょうが、欲張りな私は沢山の製図を見たくてたまりません(笑)
○作り方のページ
用語と記号が最初に載っていましたが、初心者の私はとりあえず覚えながら進むしかありませんでした。
こんがらがったのは、飛び数。数え方は分かるのですが、上下のかがる部分(上からスタートして、次の下でどこを真ん中とすれば、再び上に戻った時に狙った数飛んでいるのか)をどこに定めれば良いのかが最初は分かりにくかったです。もし、自分で模様を描く場合には、それが必要になってくるかな?と思いました。
○土台の作り方
バイアス布で厚紙をくるむところが、最初のネックでした。バイアスを引っ張ると、変なシワができたり、逆にきつすぎてしまったり。説明写真のようにバイアスの端を指で折り返すのも、力が入りすぎて作るのに指が痛くなりました。
後に、毛抜きでバイアス布を掴んで折り返すのが一番楽だと知りました。
○等分の仕方
一番の要になる、等分線の引き方ですが、これも苦労しました。
和紙の長さを作りたい等分で割る。
こんな簡単なことが、実はそこそこ難しかったです。うまく割り切れれば良いですが、小数点以下の数字で、一コマの幅が左右されてしまうのに、文系の私は頭を抱えました。
等分線のページがあったらなあ……と思ったものです。
○刺し方
並刺し、まわし刺し、開き刺しなど、技法ごとに載っていて勉強になりました。なにより、言葉だけでなく写真があることで、より的確に針の出す位置、糸のかけ方、進行の糸の並べ方などが本当にわかりやすかったです!
○製図
見ただけでテンションが上がりました!
かがり方の図と、模様の図案の両方があることで、糸の並びが分かりやすくて良いなと思いました。そして添えられた完成品の写真が仕上がりもイメージできて更に良かったです。
一つ気になったのは、色の名前が書かれてあり、それに応じて絹糸を探すことです。
黄色や赤、青など比較的分かりやすい色は良いのですが、写真の作品の色を探すのには絹糸の品番があればな〜と感じました。材料のところでは、絹糸のメーカー名がなかったので、そのためかな?とも思いましたが…本の作品の色味が気に入って作りたい場合に、同じ色を探すのは難しいかもしれません。
○まとめ
買うまでは「少し高いかな?」と思っていたお値段でしたが、結論で言えば買って良かった!と思うし、中身を見れば値段にも納得の充実度です。
フルカラー、81の製図、ゆびぬきの歴史やお祖母様のインタビュー記事、眺めるだけでも楽しめる内容です。
一度は廃(すた)れてしまいかけた、加賀ゆびぬきの伝統を後世に。それが実を結んだなぁと思いました。私は、この小さな世界の色鮮やかな作品を作れることに、幸せを感じています。
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